T-CarとIoTテストハブ

T-CarとIoTテストハブ

INIADでは、インターネットに接続することでインターネット上にある高性能なコンピュータやさまざまな情報を活用できるIoTシステムを学習するためには、自動車を題材にすることが適していると考え、10分の1スケールの模型自動車を使ったT-Carとよばれる教材を用意した。T-Carは、市販のラジコン用の自動車フレームに、明るさ、距離、車速、温度、車線情報などのさまざまな情報を取得できるセンサー類と、速度やステアリングを制御する基板と、リアルタイムOS「µT-Kernel」が動作するコンピュータを搭載している。T-Carは6LoWPAN(シックスローパン)とよばれる無線通信でインターネットに接続される。周辺環境のセンサー情報をネットワーク経由で取得したり、クラウド上のAIが判定した結果に基づいて最適に制御されたり、自動運転にも応用可能なさまざまな状況を実験できる。

IoTテストハブは、T-Carを走行させるサーキットが設置された実験室である。IoTテストハブにはIoTを活用した最先端の環境が用意されており、IoTに関連する幅広い技術を学習できる。室内にはモーションキャプチャ、カメラ、プロジェクター、ディスプレイなどが設置され、床面には7m×3.5mの広大なディスプレイが敷かれている。

この床面ディスプレイにコースを表示することで、T-Carは車線情報を取得するセンサーによってコースの車線を自動で判定し、車線に沿って走行することができる。多様な環境をシミュレーションすることができるため、時間に応じてサーキットの形状を変更したり、事故を擬似的に発生させて走行中のT-Carに事故情報を送ったり、あえて速度の遅いT-Carを混ぜることで自動追従走行の実験を行ったり、雨や凍結による路面の状況変化をシミュレーションしたりと、自動運転に関するさまざまな実験が可能な環境になっている。また、周囲に設置しているモーションキャプチャやカメラなどによって、他のT-Carの動きをより広範囲に検出し、混んでいない道を選択させることも可能である。さらに、実験中のシミュレーションの状況を床面ディスプレイに表示してフィードバックできるので、その場にいる人はより直感的に状況を理解できる。

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