会 期 | 2024 年5 月30 日(木)・31 日(金)・6 月1 日(土)の三日間 終了しました |
時 間 | 10時30分~17時00分 |
会 場 | 〒115-8650 東京都北区赤羽台1-7-11 INIAD HUB-1 |
入 場 | 入場無料 入場人数制限をしております。来場者が多い場合、予約された方を優先にご案内するため、スムーズなご案内のために下記の専用Webサイトより事前予約をお願いします(当日可)。 |
東洋大学情報連携学 学術実業連携機構・INIAD cHUBは、開学7周年を記念して「井上円了AIワンダーランド」を開催いたします。この展示会は、2018年に開催された「哲学ワンダーランド」の後継企画であり、哲学と最先端技術の融合をテーマに、井上円了先生の思想とその影響を探求します。展示会では、以下のような多彩な出し物を通じて、来場者の皆様に井上円了先生の深遠な思想世界と、現代技術がいかにそれを新たな形で表現できるかをご体験いただきます。
1. 井上円了×AI×四聖討論
釈迦、孔子、ソクラテス、カントの思想を基にしたAIが、井上円了先生をモデレーターとして来場者から与えられたテーマについてパネルディスカッションを行います。過去の偉人の思考をAIで現代に適用することで、時代を超えた思想の架け橋を体感できます。
2. 井上円了×AI×妖怪動画
井上円了先生の妖怪に関する記述から、生成AI が創り出した幻想的な妖怪の動画を展示。AI の「連想の暴走」により、人間の恐怖や夢、想像力を探ります。
3. 哲学堂公園フォト×AIスライドショー
写真家の佐藤倫子氏が撮影した哲学堂公園の美しい写真にAIが生成したキャプションを添え、AI が写真のクラスタリング分類を行い3D空間にマッピングして表示順などを決めた、AI 演出によるスライドショーを上映します。
4. 哲学堂公園×360パノラマ
哲学堂公園の360度パノラマ映像をパノラマ投影コーナーで展示。没入感のある映像で哲学堂公園の全景を堪能できます。
5. 井上円了×AIタイムトンネル
全面投影通路で井上円了先生の人生を上映。通路内の観覧者の位置に応じて、その時代の出来事や社会状況をAIが自動的に深堀りし、周囲に投影します。
INIAD では、井上円了先生の哲学とAI 技術を組み合わせることで、過去の偉人の思想を現代に蘇らせ、来場者が新たな視点で思索を深められる機会を提供します。同時に、AIによる解釈は原典とは異なる可能性があることを踏まえ、批判的思考の重要性も示唆しています。
解説
井上円了×AI×四聖討論
本展示は、井上円了先生と四聖の思想を元にしたAIが、与えられたテーマに回答します。
モデレーターのAIがテーマに合わせて、最初に井上先生が意見の出し方や討論の回し方などを決め、それにあわせて個々の哲学者を元にしたAIが、他の哲学者の意見を反映し発言を加えていきます。音声認識にも発話にも複数のAIを使っていますが、哲学用語等の難読用語については、別のAIで読みを決定するなどしています。このように、複数のAIモデルが連携して討論を生成しています。
本展示は、過去の偉人の思想の枠組みを、その場で与えられたテーマに対して現代の技術で適用し、より多くの方々に親しんでいただくことを目的としたものです。ここでのAIによる回答は、あくまで一解釈であり原典との相違や、思想の一部を取り上げた表現などがあることをご理解ください。本展示が、過去の偉大な思想家への敬意を保ちつつ、哲学と現代技術の融合による新たな思考の場となることを願っております。
井上円了×AI×妖怪動画
生成AIは、与えられたプロンプト(AIに対する指示の文章)や、すでに生成した文章に対し、次単語を「連想」することで、新しい文章を紡いでいくという原理で働く連想マシンです。画像生成AIも人が天井の木目から幽霊を連想するように、砂嵐のようなノイズ画像から、プロンプトの意図に沿った鮮明な画像を「連想」するようにして新規の画像を生成します。
つまり生成AIの基本は「連想」。そして人間の「夢」も、理性が眠りについて、意図による方向付けを失った「連想の暴走」として説明できます。「妖怪」も人が恐れる「闇」の中の少ないノイズ情報からの「連想の暴走」として生まれるものかもしれません。
ここでは井上円了先生の妖怪に関する様々な記述をプロンプトとして、生成AIの「連想の暴走」をさせた結果の、まるで「夢」のような、イメージの連鎖・融合をいくつかの動画としてお見せします。
明治の哲学者として、誰よりも理性的に妖怪の不思議を分析・分類し、合理的な説明をしてその実体を白日の下にさらし「妖怪退治」をしてきた円了先生。しかし、同時に「妖怪博士」とも言われ、誰よりも「妖怪」にあこがれ「一度でいいから、説明できない真怪に会いたい」と、終生妖怪の事例収集を行ってきた円了先生。円了先生が、生成AIをお知りになれば、「夢」についての合理的説明とともに、その生成する妖怪画像を楽しまれたのでないか思います。
用語
- INIAD(イニアド):Information Networking for Innovation And Design の略で、東洋大学情報連携学部のブランドネーム。情報科学と情報技術を中心として、他の学問分野や異なる背景を持つ人々と連携する境界的な学問領域を研究し、それをもとに産業界や社会において多様なチームで活躍できる人材を育成することを目指す。
- INIAD cHUB:東洋大学情報連携学部(INIAD)の学術実業連携機構。産学連携、社会連携、国際連携を推進し、研究成果の社会実装や新たな価値創造を目指しています。
- 哲学堂公園:井上円了先生が1904 年に開園した日本で最初の哲学をテーマにした公園。東京都中野区にあります。
- 四聖:井上円了先生が特に尊重した東西の哲学者4 人(釈迦、孔子、ソクラテス、カント)のこと。哲学堂公園内には四聖堂が設けられています。
- 六賢台:東洋の6人の賢人(荘子、朱子、龍樹、迦比羅仙、聖徳太子、菅原道真)を讃える哲学堂公園のシンボル的建造物。
- 生成AI:大量のデータから学習し、新しいコンテンツ(テキスト、画像、音声など)を生成するAI の総称。近年、GPT-4 Turbo やClaude 3などの登場により飛躍的に進歩しています。
- クラスタリング:データ分析や機械学習において、データセットを類似したオブジェクトのグループ(クラスタ)に分割する手法です。クラスタリングはデータの自然な構造やパターンを見つけるのに使用されます。
背景情報
井上円了(1858-1919)
井上円了は、明治期の日本で哲学者・教育者として活躍しました。幕末から明治にかけて日本が「世界」と出会い、急速に欧化主義に流されていく中、彼は「哲学」による「ものの見方・考え方」を人々に育てることが、よりどころを取り戻すために不可欠であると考えました。そして、29歳の若さで東洋大学の前身である「哲学館」を創立しました。
その創立趣意書には「余資なく優暇なき者に教育を開放する」とあり、哲学館に通えない遠隔地の人々のために「館外員制度」を設けて今日の通信教育の形で全国にその門戸を広げ、さらに現在の公開講座にあたる「日曜講座」も実施しています。
さらに多くの人々への教育の場を求めて、地方のすみずみにまで自ら出向いて講義をする「全国巡講」の旅に出ます。仏教思想の中に数千年の歴史をもつ「東洋の哲学」があることを発見した井上円了は、それを体系化し、すべての日本人に伝えることに情熱を注ぎ続けた生涯を送ります。
井上円了と四聖
東京大学の一期生となった井上円了は、ソクラテス、プラトン、カント、ヘーゲルを中心に社会進化論のスペンサーなど当時の最先端哲学まで、西洋哲学全般を網羅して学んだ。
円了はさらに東洋哲学的視点で仏教を見直し、単なる欧化主義に陥らずに日本古来の良さを生かしながら、日本文化と西洋文化の融合を目指した。
そんな円了は東西の哲学史上の偉人として釈迦、孔子、ソクラテス、カントの四人を「四聖」として特に尊重し、哲学堂公園の中に彼らを祀る「四聖堂」を作り上げた。
本展示の写真:佐藤 倫子
佐藤 倫子(さとう みちこ)東京都出身。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。株式会社資生堂宣伝部写真制作部入社。退社後、フリーランスに。
佐藤独自の撮り方で魅せるクリエイティブスナップ作品を都内中心に個展・グループ展を開催し、講座やセミナーなどへも活動。
制作:INIAD cHUB 「井上円了AIワンダーランド」プロジェクトチーム
坂村 健(プロジェクトリーダー)
山田 純(プロジェクトサブリーダー)
日置直幹、初田黎、江頭飛鳥、神尾真人、渡辺周太、浅野智之(技術チーム)
本多孝之、関根章裕、島田由美子、安藤政則、青木賢治(展示チーム)
連絡先
INIAD cHUB(東洋大学情報連携学 学術実業連携機構)
広報担当
メール: contact@iniad.org
ウェブサイト: https://www.iniad.org/
制作:INIAD cHUB 「井上円了AIワンダーランド」プロジェクトチーム