Open Smart URプロジェクト

2030年、私たちを取り巻く社会はどのような変化を遂げているのか─避けられない少子高齢化、そして情報技術の発展による大きな社会環境の変化。また、テレワークや在宅勤務、サテライト勤務などの働き方改革により、私たちの生活スタイルも今とは違ったものになっていることであろう。高齢世代、子育て世代、働く世代─さまざまな世代が同じ空間を共にすることで、「住まい」のニーズもますます多様化していくものと考えられる。

未来の住宅、オフィス、そして都市を作り出していくためには、AIやIoTをはじめとしたデジタル技術の活用が不可欠となる。そこでINAD cHUBとUR都市機構は共同で、“HaaS – Housing as a Service”の実現を目指し、オープンプラットフォーム構築のための「Open Smart UR」を立ち上げ、プロジェクトに賛同するさまざまな企業や団体と連携して活動を推進している。

Open Smart UR 研究会

少し先の未来における住まい方のビジョンを検討するために2019年に組織したのが「Open Smart UR研究会」である。本研究会では、物理的な住居を超え「ハウジング」というサービスを包括的に展開するHaaSコンセプトを軸に─自動宅配サービスやSNSによるコミュニケーションといった「魅力的なまちづくり」、各種外部サービスと連携による「多様な住まい方」、見守り、子育て支援など「安心して暮らせる環境」の実現のため、技術的な検証や環境整備を行っている。

これからの時代、理想的な住まい空間は、一企業の努力だけでは達成できない。さまざまな企業や団体、周辺地域や都市まで含めた「連携」を通じ、サービスの「視野」を広げることが必要となる。そのために、本研究会はINIAD(東洋大学情報連携学部)坂村健(INIAD創設者(前学部長))を代表とし、住宅設備機器、建築、エネルギー、通信、IT、交通事業者、保険など業界の70社/団体により構成されている(2023年7月現在)。

スタートアップモデルから生活モニタリング住戸へ

2019年にOpen Smart UR研究会のメンバーを募集するにあたり、研究会の活動をイメージできるように旧赤羽台団地のスターハウスの中に「スタートアップモデル」を作り、未来の住まい方を提示した。一部屋44m2の中に44個のセンサーやアクチュエータを設置し、センサーから集まってくる大量のデータをAIなどを使って解析することによって、住環境についてのデータを分析する研究を行った。

2021年には、研究会メンバーがさまざまな接続試験やサービス連携研究を行うための施設「INIAD cHUBスマートハウス・テストルーム」をINIADの中に設置した。各社が自社の機器やサービスを持ち込み、プラットフォームに接続し他社の製品との連携を実験、検証している。

そうした成果をもとに、2022年10月、登録有形文化財として保存された旧赤羽台団地の板状住宅をリノベーションした「生活モニタリング住戸」が完成した。IoTやAIなどのスマート技術を活用し、豊かな団地のくらしを実現するための実証実験の場として活用していく。

Open Smart UR 生活モニタリング住戸

■ 住戸概要
場所:赤羽台41号棟1階・3階(東京都北区赤羽台1丁目4-41)

■ 協賛企業
アズビル金門株式会社
株式会社ウッドワン
大阪ガス株式会社
河村電器産業株式会社
株式会社シブタニ
住友電設株式会社大和ハウス工業株式会社
東京電力ホールディングス株式会社
日本総合住生活株式会社
株式会社ノーリツ
株式会社フジタ
丸一株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
美和ロック株式会社
株式会社リード
株式会社LIXIL

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