INIAD Makers’ Hubは、INIADの学生や教員がコンピュータを使ったものづくりをするためのスペースである。コンピュータを使ったものづくりは一般にデジタルファブリケーションとよばれており、3Dプリンタ (注1)やレーザー加工機 (注2)などを利用したものづくりが世界的に新たな潮流となりつつある。INIADは、このような「ものづくりに取り組む人々」(メイカーズ)の活動を支援することが重要だと考えている。
INIADでは、3Dプリンタ、レーザー加工機、3Dスキャナ (注3)などデジタルファブリケーションのための機材を複数導入している。またコンピュータ系学部として必須である高精度なテスターやオシロスコープ、ネットワークアナライザーなどの計測機器や、電動ドリル、はんだごてなど、ものづくりに関するさまざまな機材を取りそろえている。しかも、メイカーズをサポートする専任のスタッフが常駐しているので、万全の体制の中でアイデアを形にできる。
INIAD Makers’ Hubの機材を活用して、東洋大学の創設者である井上円了先生が利用していた陶器製のドクロ型筆立ての実物をモデルに、複製品を製作した(下図)。実物の筆立ては貴重品であるが、デジタルファブリケーションを活用することによって、たとえば目の見えない方も複製品を触って筆立ての形状を理解できるなど、博物館のバリアフリー化の実現にも貢献できる。
作業できる内容
INIAD Makers’ Hubでは、原材料を加工するところから塗装などを施す整形まで、ものづくりの一連の作業を行える。
- 木材、金属、樹脂などの工具を用いた加工
- デジタルファブリケーション
- 電子工作
- 塗装
計測機器
電子工作のためのプロユースの計測機器類も充実している。
- デジタルマルチメーター
- オシロスコープ
- ロジックアナライザー
- ネットワークアナライザー
- スペクトルアナライザー
工作機器
デジタルファブリケーションを中心に、ものづくりの一連の作業を行う環境を整えている。
- 3Dプリンタ
- 3Dスキャナ
- 3D切削加工機
- レーザーカッター
- カッティングプロッター
- 真空成形機
- 基盤加工機
- エアースプレーガン
注1) 3Dプリンタ: 3D CADなどを利用してコンピュータ内で作成した3Dモデルデータに基づき、樹脂などを薄く積層することによって三次元形状を造形する装置。主に製品設計時に使用され、従来であれば金型を起こす必要があったものが3Dプリンタから出力できるようになり、これによりものづくりにおいてラピッドプロトタイピング(高速試作)が可能となった。
注2) レーザー加工機: 高出力レーザーによって切断、穴あけ、彫刻を行うことができる装置。刃物による切削加工の代わりにレーザーを使用することで、PC上で作図した二次元CADデータから直接加工を行うことができるので、複雑な形状、模様を加工することを短時間に行うことができる。
注3) 3Dスキャナ: 立体物の形状を三次元で読み取り、データとして保存するための入力装置。用途としては、生産物とCADデータとの差異を比較するための検査測定、現物をデータ化し解析を行うリバースエンジニアリング、資料価値の高い文化財の電子化などがあげられる。