IoT化された未来のキャンパス

IoT化された未来のキャンパス

最先端の空間で学ぶ

赤羽台キャンパスにあるINIADは最先端のIoT技術により、さまざまな設備や機器をネットワークに接続し、それらがキャンパスの状況に合わせて協調動作することで、人々に最適な環境を与え、使用エネルギーの最適化を図る。このように設備や機器を空間の状況に合わせて最適制御するというコンセプトは、坂村健(INIAD創設者(前学部長))がプロジェクトリーダーを務めるTRONプロジェクトの目指すところであり、赤羽台キャンパスはこの研究成果を取り入れた未来のキャンパスを実現している。

研究室には、電灯やエアコンのスイッチはない。キャンパス内にあるセンサーを利用して環境を自動認識して制御を行い、利用者からの指示はスマートフォンやPCからネットワーク経由で行う。教室や研究室などへはICカードやスマートフォンで鍵を開けて出入りする。講義の案内や連絡事項などはキャンパス内に設置されたデジタルサイネージやスマートフォンで知ることができる。

コンピュータ教育に適したネットワーク環境

キャンパス内にはWi-Fiが整備されていて、情報教育を実施するために十分なインターネット接続帯域が確保されているので、学生が所有するPCやスマートフォンを持ち込んで、授業や研究に活用できる。

また、クラウドコンピューティング環境としてINIAD教育クラウドを整備している。このINIAD教育クラウドを活用した講義も数多く用意されている。学生がINIAD教育クラウドを自分自身の学習や研究などにも活用できるよう、設備も整っており、また困ったときにはINIADスタッフがサポートする。

ビル全体がIoT教材

INIAD HUB-1 では、センサー、照明、空調、ロッカー、エレベーターなどさまざまな設備や機器がクラウドに直結されていて、API(Application Programming Interface, コンピュータプログラムから、他のプログラムや機器の情報を取得したり制御したりするための約束事を定めたもの)を通じて操作できる。そしてINIADでは少人数制授業の特徴も生かし、このAPIを使った授業を積極的に展開している。学生はAPIを学習し、これらを操作するためにプログラミングすれば、このIoT化されたスマートキャンパスを自身に割り当てられたアクセス権限の範囲内で思いどおりにコントロールできるようになる。

たとえば、「照明のFULL(明るい)/DIM(薄暗い)/OFF(消灯)を繰り返すプログラムを書く」といった課題を出したとしよう。学生はINIADのAPIを使って、プログラムを書いてみる。そして教室のプロジェクターを使って、個々の学生の画面を映し出しAPIをすぐさま実行し、発表するといった具合だ。さらにINIADのAPIとさまざまな外部サービスのAPIをマッシュアップして、より高度なアプリケーション開発に取り組むことを教わる。たとえば、「照明を点けてください」「照明を消してください」といった音声で部屋の照明を制御するプログラムは、Googleなどが提供する音声認識サービスのAPIとINIADのAPIのマッシュアップで実現できる。

このようにINIADの学生たちは、オープンAPIの考え方に沿って、IoT時代に必要な知識を身につけていく。

INIADキャンパスAPIの利用例

  • プレゼンテーション時に外光が差し込む場合は自動でブラインドを下げて照明を点ける。
  • ICカードをかざして部屋に入室すると、入室した人の好みに合わせた設定で照明・エアコンが動作する。
  • あらかじめ利用階、目的階をスマートフォンに入力しておけば、荷物を運んでいて両手がふさがっているときでも、エレベーターの前に行くだけで、自動でエレベーターを制御して目的階へ移動できる。

インテリジェントロッカー

インテリジェントロッカーの表面には名札がなく、パネルが並んだシンプルなデザインになっている。このパネル、つまりロッカーの扉1枚1枚は、IoT制御によって開けることができる。カードリーダーに登録済のICカードをかざすと、自分のロッカーの扉が開く。IoT制御になっているので、スマートフォンから開けることもできる。ICカードはいわゆる交通系ICカード。電車の定期券がロッカーの鍵となる。

インテリジェントロッカーは、学生用の教材にもなっている。プログラミングによりスマートフォンやICカードに扉を紐付け、はじめて自分のロッカーが使えるようになる。学習が進めば工夫次第で、たとえば許可を与えた友人に電子鍵をメールで送り一度だけ扉を開けることを許可するというようなこともできる。

デジタルサイネージ

INIADでは紙をなくすという方針により、教室内の黒板や白板がないだけでなく、紙を貼るための掲示板もない。そのためINIAD HUB-1の各所にはデジタルサイネージが多数設置されている。もちろん情報はスマートフォンやパソコンから得ることもできるが、情報を周知するにはデジタルサイネージが効果的である。主要なデジタルサイネージは55インチのタッチパネルディスプレイ。掲示は短時間でどんどん流れていくが、タッチすると止まり、自分に必要な情報を見つけて、その場で読んだり、自分のスマートフォンなどに取り込んだりできるようになっている。このほか壁に投影するプロジェクターも多数配置され、INIADの中で情報発信が簡単にできる。

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