
INIAD cHUB(情報連携学 学術実業連携機構)機構長の坂村健の研究室が開発した、AIによる「井上円了・四聖討論」が「第一回京都会議」で披露され、世界各国の識者から高い評価を受けました。
「京都会議」は、人工知能(AI)時代に必要とされる社会の根幹たる「価値観」や「価値」について議論と対話を行う場として、一般社団法人京都哲学研究所により設立されたものです。この会議は、世界的な哲学者、科学者、経営者、技術者、芸術家、宗教家ら300名が一堂に会し、2025年9月23日から24日の2日間にわたり、国立京都国際会館で開催されました。

その重要な舞台で、本学の創立者である井上円了先生の哲学と理念を、最先端のAI技術で現代に蘇らせるという画期的な試みが披露されました。
この「AI四聖討論」は、井上円了先生をモデレーター役とし、先生が特に尊重した四聖(ソクラテス、孔子、釈迦、カント)の思想を学習したAIたちが、来場者から与えられた多様なテーマについて対話を行うシステムです。単に過去の著作を再生するのではなく、各哲学者の「考え方の枠組み」を再現しているため、「現代社会の課題」といった未知の問いに対しても、それぞれの思想に基づいた深い洞察を生成します。
展示会場では、多くの来場者が足を止め、様々なテーマを与えてAIと哲学の融合が生み出す知的な対話に聞き入りました。特に、視察に訪れた英国のジュリア・ロングボトム駐日大使は、坂村健INIAD創設者の説明を受けながらシステムを体験。「2025年に仏教から学べることは何か?」という問いかけを行い、その結果を受けて「かつての哲学者らが現代で生き生きと活発に議論し、面白かった」と感銘を受けた様子でコメントし、その様子は新聞でも報道されました。
今回の出展は、本学が建学の精神である「諸学の基礎は哲学にあり」を大切にしながら、AIという現代の最先端技術と深く連携し、新たな価値を創造できることを世界に証明する機会となりました。「妖怪博士」としても知られる円了先生の探究心と、INIADの技術力が融合した本プロジェクトは、本学の教育・研究の可能性を広くアピールする大きな一歩となりました。
