柳井優希さん(情報連携学研究科博士前期課程2年生・石川知一研究室)が発表した研究「建築物点検用の学習データ生成のための木材腐朽および虫害のプロシージャルモデリング」が、情報処理学会 第202回CGVI研究発表会(2026年6月20日・東京大学)において、学生発表賞を受賞いたしました。
この研究発表会は情報処理学会CGVI研究会によって年4回開催される発表会の1つで、発表を通し意見交換・交流を行っています。研究発表会の詳細はこちら。
柳井優希さんが行った「建築物点検用の学習データ生成のための木材腐朽および虫害のプロシージャルモデリング」では、建築物の保守点検において学習データの収集が困難な白色腐朽、シロアリの蟻道、甲虫による穿孔被害を対象に、コンピュータグラフィックス技術を活用したプロシージャルモデリングによる学習用画像生成手法を提案しました。水分分布を考慮した反応拡散モデルによる白色腐朽の生成、エージェントベースモデル(ABM)によるシロアリ蟻道の生成、空間自己相関を考慮したガウス群集配置による甲虫脱出孔の生成を組み合わせることで、自動アノテーション付きの合成データを効率的に作成できるパイプラインを構築しました。さらに、生成した合成画像のみを用いて学習したセグメンテーションモデルを実写画像に適用し、実写データを用いない学習であっても平均58.65%のmIoUを達成し、特に甲虫被害では72.93%の高い認識性能を示しました。本研究は、実画像の収集が困難な建築物の生物劣化検知において、CG技術による学習データ生成が深層学習の実用化を支援する有効な手法であることを示したものです。

– 柳井優希さんのコメント –
このたびは学生発表賞を賜り、大変光栄に思います。研究を進めるにあたり、ご指導くださった石川先生をはじめ、発表や議論を通して貴重なご助言をくださった皆様に、心より感謝申し上げます。学会でいただいたご質問やご意見は、自身の研究をさらに深める上で大変有意義なものでした。今回の受賞を励みに、今後も一層研究に励んでまいります。
– 石川知一教授のコメント –
本研究は、建築物点検における深層学習の課題である「学習データ不足」に対し、コンピュータグラフィックスによるプロシージャルモデリングを活用して解決を目指した研究です。柳井さんは、木材の腐朽や虫害の発生メカニズムを調査し、それらをCGアルゴリズムとして実装するとともに、生成したデータが実際の画像認識に有効であることまで検証しました。CG技術を単なる映像表現ではなくAI学習基盤として活用した点が高く評価されたものと考えています。今回の受賞を励みに、本研究をさらに発展させ、建築物の保守点検やインフラ維持管理への応用につながる成果へと発展させてくれることを期待しています。
研究会公式HPでの掲載
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