本学部の学生である浅野凌輔さん・髙橋侑大さんと、電気通信大学の鮎澤颯人さんの3名が、2025年度「未踏IT人材発掘・育成事業」において「OSとWebブラウザを統合したローカルLLM支援型オペレーティングプラットフォームの開発」に取り組み、事業を修了しました。本プロジェクトメンバー内の全員が「未踏スーパークリエータ」に認定されています。
未踏事業とスーパークリエータ認定について
「未踏IT人材発掘・育成事業」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年実施する、25歳以下の優秀な若手IT人材を発掘・育成するための制度です。採択されたクリエータは、約9ヶ月間にわたりプロジェクトマネジャー(PM)の指導を受けながら開発を進め、成果報告会でのプレゼンテーションおよび成果報告書の提出をもって事業を修了します。
「未踏スーパークリエータ」は、事業修了時にPMおよびIPAが特に優秀と評価したクリエータを候補者として選出し、第三者機関である審査委員会の審議を経て認定する称号です。2025年度までの累計認定者数は475名です。各認定者の詳細は、IPA公式サイトのスーパークリエータ紹介ページでご覧いただけます。
- 浅野凌輔さん:https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/koubo/career/2025/2025-supercreator-17.html
- 髙橋侑大さん:https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/koubo/career/2025/2025-supercreator-16.html
担当PMの竹迫良範氏による評価では、浅野さんはブラウザ内部実装への深い知見と、Floorpのオープンソース開発を継続しながらのLLM統合推進が高く評価されています。髙橋さんについては、チーム開発の経験が初であるにもかかわらず、基盤システムの全体設計から実装、CI/CDパイプラインの構築まで一貫して担った点が評価されています。
プロジェクト:Floorp OS
浅野さんらが開発した「Floorp OS(フロープオーエス)」は、WebブラウザとOSを統合し、ローカルLLM(ユーザーのPC上で動作するAI)を活用してPC作業の自動化を行うプラットフォームです。
現在のPC環境には、主に2つの課題があります。第1に、Webブラウザ上の作業とローカルOS上の作業が分断されており、ユーザーが手作業で両者の橋渡しを行う必要があることです。第2に、高性能なLLMの多くがクラウド上で動作しており、ローカルの機密データを処理するには外部サーバーへの送信が求められることです。Floorp OSは、ブラウザを単なる閲覧ツールからOS全体を制御するプラットフォームへと拡張し、ローカルLLMと組み合わせることで、これらの課題を同時に解決します。
Floorp OSは、浅野さんが開発者を務めるFirefoxベースのWebブラウザ「Floorp」を中核とし、「Sapphillon(サフィヨン)」と名付けられたLLMオートメーション基盤によって動作します。その全体構成は次のとおりです。

Floorp Webブラウザの中にFloorp OS UIとFloorp OS Core(Sapphillon)が組み込まれ、プラグインやローカルLLMと連携して動作します。ユーザーが自然言語で指示を入力すると、LLMが実行手順(ワークフロー)を動的に生成し、サンドボックス環境で静的解析によって安全に実行します。以下はFloorp OSのユーザーインターフェースの一部です。

これにより、従来のLLMプラットフォームやRPAツールでは困難だった、WebとローカルOSの境界をまたぐ作業の自動化を実現しています。
成果物はすべてオープンソースとして公開されています。Floorp OSの詳細はhttps://ja.floorp.app/floorp-os、プロジェクトの成果概要はhttps://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/it/2025/seika.html#takesakoからご覧いただけます。
浅野凌輔さんのコメント
未踏事業での9ヶ月間は、自身の開発スタイルを大きく変える経験でした。Floorpを「ブラウザ」から「OSの入口」へと拡張するという構想は以前からありましたが、PMの竹迫良範氏の指導と髙橋さん・鮎澤さんの専門性によって、具体的な形に落とし込むことができました。特にSapphillonの設計では、ローカルLLMの実行安全性(サンドボックス+静的解析)にこだわりましたが、これは今後Floorp OSが信頼されるプラットフォームになるための基盤だと考えています。スーパークリエータに認定されたことは大きな励みです。Floorp OSはオープンソースとして開発を続けていきますので、Webの在り方を変えられるようなプロダクトになるよう、ご期待ください。
髙橋侑大さんのコメント
スーパークリエータに認定されましたこと、大変光栄に存じます。このような成果を挙げられましたのも、チームメンバーをはじめ、日頃から支えてくださった皆様のおかげであり、心より感謝申し上げます。今後も、本成果の社会実装に繋げられるよう、より一層精進していく所存です。
今回の事業修了およびスーパークリエータ認定は、浅野さんのFloorp Webブラウザ開発における長年の実績と、髙橋さん・鮎澤さんそれぞれの専門性を結集した成果であり、本学部が推進する情報連携教育の一つの到達点と言えます。今後も、両名のさらなる活躍に期待しています。

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